《洒落怖》持ち帰った石

死ぬ程洒落にならない怖い話
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死ぬ程洒落にならない怖い話を集めてみない?9

86 :太郎:01/11/21 01:12
ある寺に、一人の盲目のK住職がいた。
これはそのK住職が、数人の若い住職を連れて恐山に行ったときのこと。

知っている人もいると思うけど、恐山には所々に死んだ人の冥福を祈るために、それぞれの思いが込められた、たくさんの小石が山のように積まれている。
盲目の住職は若い住職たちに向けて言った。

 

「ここに積まれている小石は、絶対に持って帰ったりしてはいけない」

 

それを聞いたある一人の若いT住職は、

 

『なんだ?どってことない普通の石じゃないか。これが何だっていうんだ?』

 

と思い、小石をひとつ掴み取って、ふところに入れてしまった。

帰りの車の中でのこと。
しばらく走っていると、盲目のK住職が突然ものすごい顔つきになり、「何てことだ!一体なぜ・・・」と叫んだ。
驚いた住職たちが「どうしたんですか?」と聞くと、その住職は、

 

「女がものすごい形相で、この車を追ってきている・・・」

 

「えっ、どういうことですか?」

 

みんなで後ろを振り返ってみたが、なにもいない。
しかし、K住職の顔はどんどん険しくなっていく。

 

「この中の誰かを追ってきている・・・お前たち、一体何をしたんだ?」

 

若いT住職ははっと気がついて、自分のふところから石を取り出した。

 

「まさかこれが・・・?」

 

そして何気なくその石を裏返してみた。
するとそこには、はっきりと女性の名前が書かれていたのだ。

 

「ひぃぃぃっ!」

 

完全に取り乱したその住職は、思わずその石を窓の外に投げ捨ててしまった。

 

「ああっ追いつかれる!」

 

K住職が叫んだ瞬間、石はアスファルトにたたきつけられ、真っ二つに割れてしまった。

 

『助かった・・・』

 

そう思ってT住職は胸をなでおろした。
しかし次の瞬間、K住職が青ざめながら言った。

 

「女が血だらけになりながら、必死に車を追って来た・・・」

 

「そっ、そんな!」

 

あせったT住職は、すべてをその住職に話した。
すると、

 

「ちゃんと元の場所に返しに行けば、何とかなったものを・・・。
なぜこうなる前に話してくれなかったんだ。
残念だが、石を割ってしまった今はもう・・・」

 

その後。その若い住職は高熱にうなされ、あっけなく亡くなってしまった。

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